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ワクチン製造で世界の人々の健康を守る。BIKENの変わらぬ使命と進化。
株式会社BIKEN
代表取締役社長 田中 崇嗣
1956年、福岡県生まれ。広島大学大学院医学系研究科博士課程(分子薬学)を修了後、1985年に田辺製薬株式会社(現:田辺ファーマ株式会社)に入社。長年にわたり医薬品の研究開発や事業推進に携わり、生産サプライチェーンマネジメント改革を牽引。2019年、株式会社BIKENの取締役に就任し、製造現場のガバナンス強化を推進。2023年、代表取締役社長に就任。ワクチンの安定供給体制の確立と製造技術の高度化を指揮し、次世代を担う人材育成と未来への連鎖に心血を注いでいる。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
ワクチン製造を通じて未来を背負う。幼児ワクチンを安定供給し続ける社会的使命。
私たちの最大のミッションはワクチンを通じて人々の命を守ることです。事業の根幹を支えているのは、生まれたばかりの赤ちゃんから小学校入学までの幼児の「定期接種」です。
かつて日本には年間約200万人の新生児がいましたが、現在は約66.5万人にまで減少しました。市場規模という観点で見れば縮小している事実は否めません。
しかし、たとえ子どもの数が減ろうとも、「赤ちゃんたちの命を守る」という私たちの使命の重さは決して変わりません。むしろ少子化が進む今だからこそ、感染症から子どもたちを守る社会的責任は、より一層高まっています。
いかなる環境変化があろうとも、高品質なワクチンを安定的に供給し続けること。そのためには、事業基盤を盤石なものにしなければなりません。
私たちは現状に甘んじることなく、製造現場の強化と組織の進化に挑み続けています。これは単なるビジネスではなく、日本の未来、そして世界中の命そのものを守る活動だと私は捉えています。
ワクチン製造の「深淵」に、科学の光を当てる。

BIKENグループの中核である一般財団法人阪大微生物病研究会は、90年以上の歴史を持つ研究機関であり、長年にわたり日本の公衆衛生を支えてきました。
その強固な研究基盤をベースに事業としての足腰をさらに強化するため、2017年に設立されたのが「株式会社BIKEN」です。
私たちの役割は、基礎研究の成果を基に工場で大量生産できるよう「工業化」し、国内外で競争力の高いワクチンを安定供給することです。
しかし、生物由来の原料を扱うワクチン製造は一般的な医薬品とは異なり、非常に難易度が高いものです。
ビーカーレベルの試作が成功しても、それを500リットルや3,000リットルという巨大なタンクで再現し、安定的に製造し続けることは至難の業です。
実際、これまで問題なく作れていたものが、ある日突然作れなくなることもあります。
長年培われてきた職人の勘や伝承に支えられている部分も大きいのですが、それだけでは現代の品質保証レベルを満たせません。
「なぜうまくいったのか」「なぜ失敗したのか」。その要因を科学的に抽出し、コントロール可能な技術へと昇華させていく。私はこれを、ワクチン製造における未解明の「深淵」への挑戦と呼んでいます。
経験と勘の世界から、データと科学に基づく近代的な工業生産へ。この変革こそ、私たちが直面している最大のテーマなのです。
グローバルと新モダリティで描く、次なる成長戦略。
国内の出生数が減少する中、私たちが国民の健康を守り続けるためには、市場を国内の定期接種だけに依存するわけにはいきません。今後は海外市場への展開や、成人向けワクチンなどの製品ラインナップ拡充が不可欠です。
人生100年時代、帯状疱疹ワクチンなどライフサイクル全体をカバーするニーズに応えていくことが、次なる成長戦略です。
また、パンデミックの教訓を活かし、有事の際に迅速にワクチンを供給できる体制づくりも進めています。現在、国の支援を受けて建設中のプロトタイプ製造工場は平時から準備を整え、いざという時に即座に動ける体制を構築するものです。
ここでは従来の生ワクチンや不活化ワクチンに加え、メッセンジャーRNAなどの新しいモダリティ(基盤技術)にも対応できる技術習得を目指しています。もちろん、安全性と有効性が証明された伝統的な技術も重要です。
これらを深掘りしつつ最先端技術も取り入れる「ハイブリッド」なアプローチで、BIKENは香川の地からグローバルな視点を持って、ワクチンの可能性を広げる挑戦を続けていきます。
「人材育成の連鎖」の再構築。技術と使命をつなぐ強い組織づくり。

BIKENグループは2006年ごろから従業員数が2倍以上になっています。この成長の中、30代以上のリーダー層やマネジメント層が不足している一方で、やる気に満ち溢れた優秀な若手社員が多く入社してくれています。
「ワクチン製造をもっと科学的に解明したい」「新しいことにチャレンジしたい」という若手の熱意は組織の希望です。
しかし、そのエネルギーを正しい方向へ導き、壁にぶつかった際に乗り越え方を指し示す存在が足りていません。
さまざまな経験と柔軟なメンタリティをもって「こうすれば突破できる」と道を示し、彼らのポテンシャルを最大限に引き出してくれる人材を求めています。
伝統的な技術を継承しつつ新しい科学的アプローチを現場で取り組むには、経験豊富なリーダーやプロフェッショナルの存在が不可欠です。
世代を超えて技術と使命感が受け継がれていく「人材育成の連鎖」を再構築することが、今の私の重要な役割だと考えています。
高度な専門性を持つプロフェッショナルが存分に力を発揮できる新たな人事制度を構築。
ワクチン製造は極めて複雑であり、薬学だけでなく、工学、化学、製造管理など多岐にわたる分野の知見が必要です。そのため、異業界であっても、それぞれの分野で高度な専門性を培ってきた人材を広く求めています。
ワクチンの固有の知識は入社後に学んでいただければ構いません。それよりも重視しているのは、「なぜそうなるのか」を科学的に突き詰め、課題に対して仮説を立て、チームを率いて検証・実行できる推進力です。
プラントエンジニアリング、品質管理のプロセス構築、生産管理の最適化など、ご自身の専門分野で培った「壁を突破する力」を、ぜひ私たちの現場で発揮してほしいと考えています。
こうした多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルをお迎えするために、人事制度の改革も行いました。従来の管理職ポストとは別に「高度専門職」という枠組みを設け、一人ひとりの能力や経験に合わせて適切な待遇を提示できる制度を整えています。
世界中の人々の大切な命を守るために、ワクチンの在り方そのものに挑む。

これから先の未来も、ワクチンが「世界中の人々の大切な命を守る」存在であり続けることに変わりはありません。
この使命を全うするため、私たちはいま、ワクチンをもっと多様で柔軟な視点から解明していかなくてはなりません。その変革の原動力となるのは、やはり「人」です。
困難を乗り越えてきた皆さまの経験と叡智を結集し、ワクチンの革新に挑みたい。目の前に瀬戸内海が広がり、自然から豊かなインスピレーションを得られるこの場所で、尊い使命を胸に、挑戦を共に楽しめる方をお待ちしています。