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独自技術で四国インフラに貢献。社員が主役となって動く会社へ。

株式会社総合開発
代表取締役 大久保 健吾

更新日:2022年8月03日

1980年、香川県生まれ。
旧開発コンクリート社(現総合開発社)へ新卒入社、主に営業畑をあゆむ。
2012年常務取締役、2019年代表取締役。
コンクリート事業部、セメント事業部、建設事業部、環境事業部のインフラ関連事業責任者。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

法面工事やコンクリートメンテナンスなどで、高い技術を持つ。

総合開発の事業は多岐にわたっています。中でも主軸はコンクリート製品の開発・販売や、防災・環境保全のための製品開発・製造・施工、またコンクリートの補修といった「インフラ」関連の事業です。コンクリート事業では河川や道路、擁壁、水路など様々な工事に用いられる製品を揃えていますが、特に強みを発揮しているのは、コンクリートに特別の機能を織り込んだ「機能性特殊コンクリート」製品です。河川や港湾で使用するブロックに生態系を支援する機能を持たせたり、機械化された製造方法で従来の製造方法よりCO2排出量を削減できる製品など、固くて丈夫、しかもプラスアルファがあるコンクリートを提供しています。

防災・環境保全製品に関しては、山の法面(のりめん=斜面)工事に関するノウハウが当社の特長と言えるでしょう。豪雨や台風などで山の斜面が崩壊し、落石や土砂崩れを起こすと、地域に甚大な被害を与えてしまいます。一方、法面は自然を育成するのに大切なエリアでもあります。環境保全と重大事故防止を両立させるには、法面の状況や性質を知り尽くした製品の開発と製造、そして施工が欠かせません。法面工事において工法開発から施工まで一貫して行える会社は四国にほとんどなく、当社の強みとも言える分野です。

コンクリート補修も、事業の柱の一つになっています。当社がコンクリート補修を手がけ始めたのは、30年以上前。まだ国内では「古くなった物は壊し、どんどん新設すればいい」が常識でした。しかしアメリカでは既に「作った物を長く使おう」というメンテナンス重視の時代に入っており、いずれ日本にも同様の流れが到来すると考え、ほとんど市場のニーズもない頃から補修技術の蓄積を始めたのです。やがて社会のメンテナンスニーズの高まりと共に、当社の技術に注目が集まるようになりました。昨今珍しくなくなった、劣化コンクリートを原因とする事故のニュースを目にする度、事前のメンテナンスの重要性を痛感します。他にもグループ会社では防災無線の整備や、水質汚染対策や汚染土壌対策、あるいは災害復旧など、インフラ・防災・環境保全につながる多彩な案件に関わっています。

「儲かるかどうか」ではなく「社会から必要とされる事業か」。

創業から70年近くになる総合開発ですが、当社がここまで実績を重ねてこられたのは、新しいことへの挑戦意欲が旺盛だったからです。同業他社が目を向けない、「儲からないのでは?」と不安になるようなニッチな分野でも、私たちは「社会に必要」と判断したら、迷わず取り組んできました。機能性特殊コンクリートも、法面工事やコンクリートメンテナンスも、目先の利益だけなら参入を躊躇したかもしれません。今日、それらが当社の大きな柱となっているのを見ると、挑戦は間違っていなかったと感じます。

ここまで順風満帆だったわけではありません。私がインフラ事業本部長として経営陣に加わり、事業の舵取りをするようになったのは約10年前、30歳の時です。業界的にも大きく冷え込んでいた時期で、父から「お前は経営者の息子なのだから、人の3倍やらないと周りが認めてくれないぞ」と言われていたこともあり、私はそれこそ3倍働く勢いで仕事と向き合いました。その頃は遥かベテランの社員とも口論していましたし、自分はやっているつもりでも社員から冷ややかに見られているようで、「責任者に向いていないのではないか」と悩んだものです。

その時、父から「経営者が代わるのは、必要があったから。私にできないことを新しい経営者がやる必要があるから、代わった。私の真似をせず、お前は思うようにやったらいい」と背中を押され、吹っ切れた気がしました。それから私は「社会のためになるか」を軸として進みました。香川にとどまっていた事業エリアを愛媛にも拡大し、新製品投入や事業買収による生産性向上といった手をうち、事業を発展させてきました。

社員が主体的に動ける会社こそ「強い会社」。

事業の領域が広がれば広がるほど、痛感したのが「自分一人ではどうにもならん」ということです。自分の力など微々たるもので、社員が動いてくれなければ、事業は成長しない。先頭に立ってがむしゃらに走ってきたけれど、振り返ってみるとできていないことがたくさんある。それはできない社員が悪いのではなく、自分で動くばかりで社員を動かせていない自分に責任があるのだ。そう気づいたのです。幸い、業績は好調です。しかしこれでは、真の実力とは呼べません。私は「儲けたい」とか「会社を大きくしたい」と思ったことは一度もありませんが、いつの時代でも必要とされる「強い会社」でありたいとずっと考えてきました。そのためには、まず私自身が変わり、社員が主体的に動ける会社に転換しなければならないと感じたのです。

ですから私は、幹部の前で「これからは一歩引く」と宣言しました。今後はみんなが自分で判断し、動いてほしい。そのための指針は示すし、権限委譲も十分とは言えなかったかもしれないので、どんどん行っていく、と。会社とは経営者の所有物ではなく、社員一人ひとりの自己実現の場であるべきです。経営者の仕事はレールを敷くことであり、その道を走って壁を突破する役目は、社員に任せた方がいい。そう言い聞かせ、見守り役に徹します。

経営者と社員の距離が近く、雰囲気がいい。

当社の社員の長所は、とにかく一生懸命なところです。そのおかげか、業界関係者からの紹介で新たな社員が入ってくることもあります。一緒に仕事していて、「総合開発なら間違いない」と思ってくれる関係者が多いからこそ、ではないでしょうか。私も社員には度々「君たちならできる。新たな技術を開発したり、市場を創ることもできる力がある」と言っています。ウチは規模もそれほど大きいわけでなく、経営者も社員も同じ場所で休憩したりしているので、距離が近いんです。私も経営陣に入りたての頃は侃々諤々やったけど、今は若手にもどんどん声をかけるようにしています。

総合開発が今のままで10年安泰かと言えば、そんなことはありません。新たな分野、新たな技術に果敢にチャレンジしていく必要があります。その方向性を見出すには、多くの視点があった方がいい。社員たちがそういう発想や視点を持てるようになるためにも、「任せて、見守る」ことが大事だと思います。

ICTやカーボンニュートラルにも積極的に取り組む。

今後は、インフラ工事のICTを進めていかなければなりません。ドローンを使った測量・調査には既に取り組み、ある程度の成果も出ていますが、活用を本格化させないといけないでしょう。そのためには、仕組みづくりから構想できるICTエンジニアが必要になると思います。「脱炭素化」も大きなテーマです。土木業界は、セメントの生産段階で大量のCO2を発生させます。この問題を放置して良いはずはありません。排出したCO2を環境緑化によって吸収し、カーボンニュートラルを実現する、といったことに取り組まなければいけません。低炭素化につながる新素材導入も検討すべきでしょう。こういった課題に取り組める技術者や、事案を総合的にマネジメントできる人材が不可欠です。

今までとは異なる事業への参入もあり得ます。その発想が社員から出てくることもあるでしょうし、私が密かに構想しているものもあります。まだ具体的ではありませんが、地域にとって良い影響を与えるもの、「そういうことをやる会社が四国にあるんだ」「だったら四国に残ってもいいな」と、新たな雇用などUターン者の受け口となるような事業を実現したいと考えています。社員の自主性に任せることで、時には失敗もあるでしょう。しかし私は全く問題にしません。あきらめなければ、どんな失敗も糧として生きてくるのだから。様々な経験を積み重ねることで、どこに行っても通用する技術や見識を磨いてほしい、主体性のある社員に育ってほしいと思います。そういう社員の存在こそ、地域にいつまでも必要とされる、「強い会社」であるための原動力なのですから。

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