株式会社タダノ
斎藤真さん(仮名・ICT部門マネジャー) 38歳
Uターン転職で開発現場への想いを叶え、香川からグローバルICT戦略に挑む。
東京の大手ゲームメーカーやSIerでキャリアを積み、香川県へのUターンを決意した斎藤さん。転職のきっかけは、いつか地元へ戻りたいという想いと40歳を前にしたワークライフバランスの見直し、そして現場により近い場所でシステム開発に関わりたいという仕事への熱意だった。
転職活動では以前から興味があった株式会社タダノの募集を知り、迷うことなく応募。現在は同社で社内システムの企画・開発・運用を手がけると同時に、海外拠点のプロセス・システムの標準化にも関わるなど業務の幅を広げ、裁量の大きなチャレンジにも積極的に取り組めているという。
「香川に住みながら、グローバルな仕事に携われる環境はとても魅力的です」と語る斎藤さんに、転職活動や入社後の8年半の月日を振り返ってもらった。
※本記事の内容は、2025年6月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで61日間
転職前
- 業種
- SIer
- 職種
- プロジェクトマネジャー
- 業務内容
- 大手金融会社向けのシステム開発、メンバーマネジメント、業績管理
転職後
- 業種
- 建設機械メーカー
- 職種
- ICT部門マネジャー
- 業務内容
- 管理部門向けの社内システム開発、グローバルシステムの統合および標準化
転職の決め手は経験を活かせる環境と海外プロジェクトへの挑戦機会。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
ICT部門のマネジャーとして、会計・人事・経営企画・総務などの管理部門向け社内システムの開発・導入・運用や、グローバルなシステムの統合・標準化を担当しています。
SAP(統合基幹システム)のバージョンアッププロジェクトにも携わり、システムの安定性向上と業務効率化を目指した改善業務に取り組んでいるところです。
海外拠点との連携も重要な業務の一つです。中でもドイツの拠点には同規模のICT部門があり、グローバルなICT戦略を共に推進しています。
たとえば、グループ全体のシステム標準化に向けたプロジェクトでは、最適なシステムアーキテクチャの策定や共通業務プロセスの設計を協業して進めています。
入社前のご経歴を教えてください。
大学卒業後、新卒で入社したゲームメーカーで社内SEをしていました。SAPを活用した財務会計・人事システムの設計・開発などを担当して、社内システムの整備に従事しました。
その後、より高度なシステム開発を学びたいと考え、SIerへ転職。主に銀行や証券会社などの大手金融機関向けのシステム開発に12年間ほど携わりました。
中でもIFRS(国際財務報告基準)の導入プロジェクトは強く印象に残っています。会計の知識を活かして要件定義から開発・運用までを一気通貫で担当し、プロジェクトリーダーとしてメンバーマネジメントや業績管理も経験できました。
転職のきっかけは?
一つは、いつかは実家がある香川県へUターンしたいと考えていたことです。
そしてもう一つ、システム開発の現場に長く携わりたかったことです。前職のSIerでは、40歳を過ぎると管理職の道に進み、現場の開発業務から離れるのが自然なキャリアパスとされていました。
私はシステムの設計・開発が好きだったので、現場に近いところでキャリアを継続したいと思っていました。ですから、再び事業会社のIT部門に入ればエンドユーザーの近くでシステム開発を行い、よりビジネスに直結した課題解決ができるのではと考えていました。
転職活動はどのように進めましたか?
もともと父親がタダノで働いていたので興味を持っていたところ、ICT部門で中途採用をしていることを知りました。
そんな時、リージョナルキャリア香川のコンサルタントからオファーをいただいて、タダノを勧められたのです。ちょうど良いタイミングだと思い、すぐに相談をしました。そうした経緯もあって、私が選考を進めた企業はタダノ一社のみでした。
今の会社に決めたポイントは?
当時、タダノはSAPの導入直後で、これからシステム整備に関われるフェーズだったので、「いろんなことができそうだ」と感じたことが大きかったです。
また、海外にグループ会社があることで、グローバルな仕事ができるということも魅力的でした。前職で海外のシステム案件に関わる機会はありましたが、海外の方とはメールベースでのコミュニケーションが中心でした。
タダノでは、これからオーストラリアやタイなど海外のグループ会社にもSAPの展開をしていく状況だったので、海外プロジェクトのリーダーとしての経験を積めることに興味が湧きました。
地元だからこそ得られたグローバルな業務経験と幅広いキャリアの選択肢。
転職していかがですか?
現在の仕事は、事業会社のIT部門として業務改善の視点を持ちながら、SIerで培ったシステム設計やプロジェクト管理のスキルを活かせるので、とてもやりがいを感じています。
また、システム企画から開発・運用まで幅広く関われるのも魅力のひとつです。
SIer時代は、基本的にクライアントの要件に従ってシステムを作る立場でしたが、今は「そもそもこのシステムは必要なのか?」「業務フローから見直した方がいいのでは?」といった根本的な課題に向き合う機会が増えました。
単にシステムを作るのではなく、会社全体の経営や業務プロセスの改善を考えながら仕事ができるので、より広い視野でシステム開発に取り組めるようになっています。
最近は、M&Aによる新規事業の立ち上げや海外拠点のシステム統合など、システムだけでなく事業そのものに関わる機会も多くあります。こうした経験はSIer時代にはなかなか得られなかったものであり、新たな成長のチャンスになっていると感じています。
メーカーのICT部門でありながら、グローバルな視点を持って戦略を推進できる環境にあり、裁量を持って幅広い業務に関われることが楽しいです。
転職して良かったと思うことは?
一つは、仕事の裁量が大きいことです。これはメーカーの社内SEならではの特徴だと思います。
SIer時代は基本的にクライアントの要件に沿ってシステムを作る立場だったので、設計の自由度には限界がありました。
二つ目は、技術者として幅広いキャリアを描けること。「開発だけ」「インフラだけ」といった狭い領域に閉じることなく、システム設計・開発からプロジェクトマネジメント、業務コンサルティング、さらには経営戦略にも関与できます。
転職後はシステム設計だけでなく、グローバルプロジェクトのリーダーとして海外拠点のシステム統合や標準化にも携わるようになりました。
会社全体のシステム戦略を考える場面も増え、技術者としてだけでなく、経営視点を持ったICT戦略立案にも関われることが転職して得られた大きな価値だと思います。
困っていることや課題はありますか?
昨年から今年にかけて国内外の企業のM&Aが進んでいて、その影響でグループ全体の業務範囲が拡大しています。
ICT部門としては、買収先のICT部門の整備を含めて、より多くのシステム統合や標準化に取り組む必要があるので、人材の確保が課題になっています。そのため、積極的に中途採用を強化していきたいです。
東日本の企業のM&Aも進んでいることから、中途採用としては東京と香川の両拠点で採用を考えています。「将来的には香川県にU・Iターンしたいが、まだしばらくは東京で働きたい」という方も歓迎しています。
もちろん東京で長く定着できる仕事もありますし、システム開発だけでなくインフラに関する業務もあるので、ぜひ仲間になっていただきたいですね。
買収した企業のシステムは、それぞれが独自のルールや業務フローのもとで運用されており、統合には相当な時間と労力がかかります。特にSAPを基盤とする当社のシステムと、買収企業のシステムとの整合性をとることが喫緊の課題です。
難易度の高いプロジェクトですが、買収した企業の業務プロセスやシステムを自社の標準に統合することで、グループ全体のシナジーを最大化する役割を担える非常にやりがいのある仕事だと感じています。
生活面の変化はありましたか?
家族との時間や地元の友人と会える機会が増えたのは大きな変化です。
以前は東京で働いていたため、物理的な距離の問題で両親と会う機会が限られていたのですが、今は頻繁に顔を合わせることができるようになりました。何かあればすぐ駆けつけられる距離にいるのは大きな安心感につながっています。
働き方の面でも、SIer時代は納期やトラブル対応などで深夜まで働くことも珍しくありませんでしたが、今はリモートワークが主流で週1〜2回の出社が基本になっています。
会社としても、「定時退社日」が設けられているなど、無理なく働ける仕組みが整っており、仕事と生活のバランスが非常に取りやすいです。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
「地方だとグローバルな仕事ができない」「キャリアの幅が広がらない」と思われがちかもしれませんが、まったくそんなことはありません。
私は転職をして、より裁量が大きくなったと感じています。自分でやりたいと手を挙げれば任せてもらえる。そんな雰囲気がありますね。技術者として成長したいとか、幅広いことにチャレンジしたいという人にも、魅力的な環境があります。
それから、ライフスタイルや働き方を見直したい人にも、地方で働くことは合っていると思います。
東京だと通勤時間も長く、生活コストも高い。地方に戻ってキャリアを築いていくことで、ワークライフバランスを整えながら、仕事のやりがいも持てるのではないでしょうか。