転職成功者インタビュー

株式会社タダノ
谷川慶介さん(仮名・生産技術) 41歳

生産技術としてプロダクト全体に関わりたい。その想いを香川で叶えた。

トラックメーカーに就職し、生産技術として車軸領域の工程設計を担当していた谷川慶介さん。40歳という節目の年齢を迎え、「車軸領域だけでなく、プロダクト全体を担当してみたい」「技術者として、もう一段のスキルアップを考えるべきではないか」と考えることが多くなっていた。

加えて子どもが生まれたことで、「自然豊かな生まれ故郷で子育てしたい」という想いも芽生え始めた。そして谷川さんは、自らのキャリアアップと、充実した子育ての二つの願いを同時に叶えるため、地元である香川県へのUターン転職を決断する。

現在はクレーンメーカーのタダノに転職し、同社の製造ラインをさらにレベルアップさせるべく、これまでの経験と知識を活かして奮闘している谷川さんに、今回の転職活動についてうかがった。

※本記事の内容は、2023年8月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
0回
活動期間
エントリーから内定まで80日間

転職前

業種
自動車メーカー
職種
生産技術
業務内容
トラックの車軸ユニットに関する生産ラインの工程設計。主に新機種開発に伴う設備調達。

転職後

業種
建設機械メーカー
職種
生産技術
業務内容
クレーン全体の生産ラインの工程設計。主に新機種開発に伴うサイマル活動。

グローバルメーカーのさらなるレベルアップに貢献。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

タダノは、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーンなど、建設現場に欠かせない建機用クレーンを開発・製造しており、同分野では日本で58%、北米では35%のシェア(自社調べ/2023年3月時点)を持つグローバルメーカーです。

私は生産技術としてクレーン製造の工程設計を担当しています。以前は、図面ができた後に製造工程を検討するのが一般的な流れでした。しかし、自動車や家電などの業界では、生産効率やコスト低減を戦略的に実施するため、設計部門が図面を作成する前から生産技術者が参加し、生産性に関する提言を行う「サイマル活動」が主流となっています。

私は、タダノが新機種開発に入る際のサイマル活動を行なっています。製造の各部門にヒアリングを重ね、要件をまとめて設計部門と共有。また製造現場に対しては、ワークインストラクション(作業マニュアル)を作成し、標準作業の提示を行います。

タダノの製造現場はとても優秀ですが、優秀過ぎて現場の技量に頼り切ってしまうところがありました。サイマル活動とワークインストラクションによる製造現場の標準化は、タダノのさらなる発展に欠かせないと思います。

入社前のご経歴を教えてください。

大学卒業後、大手トラックメーカーに就職。車軸製造ラインの工程設計に携わっていました。数年に一度のモデルチェンジの際、新機種の車軸をどう作っていくか工程設定を行い、それに応じた設備の構成や、製造現場の作業マニュアル作成を手掛けました。

また、私が入社したのは、自動車業界に3D CADが導入され始めた頃で、3D CADを使った設備設計や治具の設計にも携わりました。

転職のきっかけは?

40歳を迎え、「自分のやりたいことは何か」を見つめ直したことです。一つは、地元の香川に戻って地元に貢献したいという想い。ちょうどその頃、子どもを授かったのも大きかったですね。自分が生まれ育った、豊かな自然と穏やかな環境の中で子育てしたいと思うようになりました。

妻も香川出身で、Uターンに異論はありませんでした。前職でも地元への異動願いは何度か出したのですが、そう簡単ではなく、戻るなら転職しかないと感じました。

もう一つ、技術者として幅を広げたいということです。前職では担当範囲が車軸に限定されていたので、生産技術としてプロダクトの全体に関わってみたいという思いが湧いていました。

転職活動はどのように進めましたか?

ネットで転職サイトや転職支援会社を検索し、複数にエントリー。ただ「四国の案件は少ないので、中国地方までエリアを広げてはどうか」など、私の希望に沿った提案がいただけませんでした。

そんな中、地元密着で転職支援を行なっているリージョナルキャリア香川を発見。エントリーするとすぐに連絡があり、面談で私の希望をじっくり聞いた上で、条件に合う企業をリストアップしてくれました。かなり早い段階で四国の企業情報を提供してもらえたのは良かったです。

今の会社に決めたポイントは?

前職ではトラック、タダノではクレーンと、プロダクトはわりと近い関係にあります。何より、機種一体まるごとの生産技術に関われる点が魅力でした。面接で部門責任者が「効率や品質を考え、古い製造体制は変えていかないといけない」と話すのを聞き、自分のパフォーマンスが発揮できるのではないかと感じました。

一方、ローカルへのUターンなので収入ダウンが避けられないのでは、という不安があったのは確かです。しかし妻が「やりたいことをやった方がいい」と背中を押してくれましたし、地元だったら何とかなるだろうという思いもあって、踏み切れました。

その会社と別のやり方を知る、中途入社だからこそできることがある。

転職していかがですか?

前職と違う環境で、当初は戸惑いもありました。しかし、最近はサイマル活動で過去の経験が活きている、と実感できることが増えています。権限や責任も持たせてもらい、やりがいも感じます。

2023年、タダノは世界初のフル電動ラフテレーンクレーンをリリースします。実はこの革新的機種において、私も生産技術の立場でサイマル段階から関わりました。

エンジンやトランスミッションがなくなり、モーターと電池を搭載して動く、従来とまったく異なる視点・発想が求められる電動クレーンのプロジェクトに参加でき、キャリアの幅がいっそう広がりましたね。

転職して良かったと思うことは?

知識が増えたことです。クレーン全体に関わるようになって、技術者としてのスキルが上がりました。製造工程の効率性を評価する科学的手法をタダノが取り入れ始めたのも私が入社した頃からで、体験したことのない様々な知見を得ることができたと思います。

3Dモデルを利用した工程設計、デジタルモックアップ(データ上の工法実現性の確認)も、フル電動クレーンからです。実際のモノがない中での工法の検証なので、製造時の影響をイメージしながら進める必要があります。立ち上がったばかりの製造方式を経験できたのも、貴重な体験でした。

困っていることや課題はありますか?

新機種の開発・製造プロジェクトに関わってきた中で、開発スケジュールにもう少し余裕を持たせられないか、など見えてきた課題もあります。タダノ以外のメーカーのやり方を知っている中途入社の私だから提案できることもあると思うので、開発のレベルを上げるための貢献ができないかと考えています。

また、人脈を広げないといけないとも感じています。開発・製造を進める上で、この点は誰に聞けばいいか、ということがすぐわかると早く解決できるケースもありますから。

生活面での変化はありましたか?

時間的にも精神的にもゆとりが生まれました。私は釣りが趣味なのですが、香川は瀬戸内海に面していて、釣り場がすぐ近くにあるので、週末は大体釣り道具を持って出かけます。3歳の子どもを連れて行ったりもして、楽しんでいます。

子育てに関しては、互いの実家の両親がサポートしてくれるので、圧倒的に充実しました。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

一つの会社で長く働いている人ほど「自分が辞めたら、自分が担っていた役割はどうなるのだろう」「同僚に迷惑をかけてしまうのでは」といった躊躇があるのではないでしょうか。私も、自分が辞めたら部下はどうなるのか、といった不安を抱いていた時期もありました。

しかし、辞めたら辞めたで、組織は変化し、会社は回っていきます。会社のことを気にしすぎるのではなく、1回きりの人生なのだから、自分のやりたいことをやるべきです。

キャリアは活かせるか、年収は下がるのでは…など、気にし始めるとキリがありません。でも自分のやりたいことを定め、家族も賛成してくれているなら、何とでもなりますよ。

担当コンサルタントから

チーフコンサルタント 
溝渕 愛子

谷川さんと最初にお話したとき、40歳を機に新しいことにチャレンジをしたいという思いを話されていたことが特に印象に残っています。

製品全体のモノづくりに関わりたいという考えをお持ちであったことや、製造ラインの自動化やサイマル活動などのご経験は、まさに当時タダノ社が注力されているポイントでしたので、谷川さんがUターン後も力を発揮されながら、チャレンジできる環境があると感じました。

責任感の強い谷川さんからは、「タダノの一員としてなんとかしないといけないと思っています」と力強いお言葉もあり、充実した日々を送られていることをとても嬉しく思います。今後ますますのご活躍を楽しみにしています。

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