採用が経営を変えた瞬間

企業TOPインタビュー

香川を代表する企業の経営TOPに、事業ビジョンと期待する人材像についてお聞きしました。

日本のモノづくり技術を世界に広げ、環境と貧困の問題を解決したい。

株式会社サンテック
代表取締役社長 青木 大海

更新日:2022年2月02日

1982年、岡山県生まれ。高校時代にアメリカ留学を経験。2003年、関西外国語大学を卒業後、2005年にアメリカ大使館商務部で勤務。2007年にはリーマン・ブラザーズ証券株式会社へ転職。並行してフィラデルフィアのテンプル大学でInternational Affairs(国際関係学)を学ぶ。2008年に株式会社サンテックに入社。2013年8月、代表取締役社長に就任。2021年に新社屋を完成。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

公共事業依存から脱却し、事業基盤の安定化と技術進化を実現

サンテックが製造するのは、上下水道用の熱交換器やステンレス配管、工場やプラントに用いられる圧力容器や貯水槽、真空機器装置など。一般消費者が目にする機会はないですが、生活や産業に欠かせないものばかりです。取引先は、上下水道を管理する自治体や関連業界をはじめ、化学プラント・食品・産業機械メーカーなど多岐にわたります。

 

私が社長に就任した当初、売上の90%は自治体向け製品でした。そのため10月~3月は多忙になるのですが、年度前半は閑散期、という状態。私はまずこれを改善し、市場を分散させようと動きました。1つの業界に特化するやり方も、確かにあります。そうすれば営業に注力しなくても、固定の取引先から仕事が来るので良い時は安定しています。しかし取引先の状況に依存してしまうことにもなるので、本当の意味での安定をもたらすことはできません。また特定分野の仕事ばかりをやっていると、新しい分野の仕事に取り組むことが億劫になり、避けてしまうようになります。そうなってしまっては、技術者の成長はありません。新しい分野に触れることでさらに技を磨き、技術を発展させてほしい。そんな思いもありました。

 

営業をする際には相手がどんな大きな企業であろうと、臆せずトップにアポを取り、サンテックに何ができるのかを伝えました。そうやって医薬や食品、半導体関連、ファインケミカルといった業界の製品づくりに携われるようになったのです。異なる業界に触れると、製品に対する見方がお客様によって違うということもわかってきました。医薬分野ではここが大事だ、半導体ではこれが前提なのだと理解が増えるごとに、職人も製造管理者もかなり鍛えられました。おかげで今では、少々変わった要望が来ても怯まず取り組める自信が、社内全体に根を張っています。「事業基盤の安定化」の点でも、「技術のレベルアップ」という意味でも、新分野の開拓は重要な動きとなりました。

海外経験を通して得た「環境保護と社会経済の両立」という志

私は高校生の頃、アメリカ留学を経験しました。言葉がわからず、質問されてもYES・NOで回答するのが不安なので、いつも“May be”と答えるばかり。当初、周りのアメリカ人はそんな僕を個性のないやつだと感じていたと思います。そんな中、バスケットボールをした時に「バスケはうまいじゃん」と、徐々に受け入れてくれる人が増えてきて、そこから自分を表現していくことができるようになりました。留学で学んだのは「自分を出すことの大切さ」です。異文化理解などと言いますが、それは簡単なことではありません。英語ができればいいというわけではない。しかし「自分はこうだ」と言えば、「君はそうなのか」と受け入れてくれる。出身も言語も見た目も自分とは違うけど、あなたは私と違う存在である、と認め合うことはできる。それが異文化交流の第一歩なのだと気付かされました。
 
その後、アメリカ大使館での勤務や、アメリカの大学で国際関係を学ぶなどの経験を経て、「環境を犠牲にして経済をゴリ押しする時代ではない。地球環境と社会経済が両立する道はないのか」というテーマを意識するようになりました。ところが、サンテックを経営していた父にそのことを話すと「お前の考えは机上の空論だ。ウチの職人はそんな夢みたいな話はしないが、熱をリサイクルする熱交換器や、水をきれいにする装置を現実に造っている」と一蹴されました。しかしそれがきっかけで、「サンテックのこの技術を海外に広めれば、環境保護にも役立つし、産業や技術がなくて貧困にあえぐ発展途上国の人々を助けることにもなるんじゃないか」という気づきがあり、今日掲げるテーマに繋がっています。最近では、ダイバーシティやSDGsに取り組む企業が増えていますが、10年以上前からサンテックはそれらを意識し、取り組んでいます。

飲水思源…折に触れて思い返す、創業社長だった父の言葉

父は病に倒れたため、一緒に仕事をできた期間は2年ほどしかなく、それは私にとってなくてはならない時間でした。溶接の職人でもあった父は妥協を知らない人で、私は経営の根幹を父に叩き込まれました。ある時、億単位の大型案件を進行していた際に製造現場が多忙で回らず「納期をずらしてほしい」と要望を受けました。そこで私はお客様に交渉し、納期を2週間延期してもらい、現場は大喜びでした。ところが、2週間の延期で月をまたいだため、父から怒声を浴びせられました。「俺は経営者として、この月にその売上が入ることを前提に予算組みしている。それを相談もなしにずらすとは何事だ!資金繰りがうまくいかないと、社員に給料が払えなくなる。お前の軽率な行動で全社員をリスクに巻き込んだ、ということを自覚しているのか!」と。当時の私に、そういった視点は全くありませんでした。会社は儲かっていても、資金繰り一つで傾く。それによって全社員を路頭に迷わせる可能性があること。その経験で、キャッシュフローの重要性を思い知りました。
 
経営に携わるようになった今、いろんな場面で父の教えが生きていることを実感します。私は「飲水思源」という言葉をよく使います。「水を飲む時は、水をくんでくれた人、水が出るように井戸を掘ってくれた人に思いを巡らせ、感謝を忘れてはいけない」という意味です。父をはじめ多くの職人たちが未開の市場を切り拓き、確かな経営を続けてくれたからこそ、サンテックの今日がある。その思いを忘れるわけにはいきません。

「従業員第一、顧客第二主義」「All for the Family」に込めた思い

父との思い出は大切にしながら、経営を受け継いで以降は大胆に変えてきた部分もあります。代表的なところでは、経営理念を新たに「従業員第一、顧客第二主義」と定め、またスローガンとして「All for the Family. 全ては家族のために」を掲げたことがその1つです。「従業員第一」をうたっても、「顧客第二」と言い切る会社はなかなかありません。この経営理念は言わば、従業員に対する経営者の約束です。サンテックにとって最大の財産は、一人ひとりの従業員です。彼らの技術や挑戦意欲があったからこそ、当社はここまでやって来られた。工場で働く職人にスポットをあてたいし、ものづくりの面白さを多くの人に知ってもらいたい。そんな私が何をおいても従業員を第一に考えるのは、経営者として当然です。「All for the Family」というスローガンは、働く理由を突き詰めた結果、生まれたものです。みんな家族のために働いているのに、仕事のために家族を犠牲にするようなことはあってはなりません。また当社は早くから海外展開を意識し、外国人を採用してきました。母国語も考え方も文化も全く異なりますが、誰しも家族のことを大切に思う点では共通しています。そんな従業員たちを別け隔てなく、家族のように遇したい。そう考えたのです。従業員がより幸せになれる環境をつくっていきたい。「All for the Family」には、そんな思いも込められています。
 
「従業員第一、顧客第二主義」「All for the Family」を体現するために、社屋も刷新しました。以前の建屋はかなり年季がはいっており、よくあるイメージの「鉄工所」でした。そこで2021年、IT企業と見違えるばかりの明るい社屋に作りかえました。もしかすると古参の従業員の中には「なんでこんなことに金を使うのか」「いい設備でも導入した方がいい」と思う者もいたかもしれません。しかし、今は「いい物さえ造れば客は集まる」時代ではないのです。中国・韓国・ベトナムなど、日本と同等の製品を、より安価で製造するメーカーはたくさんあります。彼らと競い合うには、サンテックで何ができるのか、わかりやすく魅力を伝えなければいけません。明るく開放的な工場は、それらを伝えるための手段の一つ。サンテックの最大のアピールポイントは、高い技術を持った従業員そのものです。そのことを知ってもらう出発点として、「いわゆる鉄工所」とは一線を画す社屋と工場が必要なのです。新社屋のコンセプトは、「ホーム」であることです。大切な人が、気持ちよく戻って来られる場所。大切な人を守れる場所。そんなホームにしたいと、細かな部分にまで工夫を凝らしました。例えば、通常なら「食堂」と呼ばれそうな場所を、敢えて「リビング」と名付けています。リビングは食事もしますが、家族同士が言葉を交わし、意思を確かめ合う場所でもあります。サンテックのリビングスペースは、社員同士が気軽に話し、ベクトルを合わせる場所にしてほしいと考えました。開放的な雰囲気の中で過ごし、従来以上に打ち解け合えるようになるきっかけがここにあります。

深刻化する発展途上国の「生ゴミ問題」を解決する新製品が誕生

我々は、地方に根差しながらもグローバルな視点を持つという意味である「グローカルマインド」を大切にし、「地球環境と社会経済が両立する道」を目指しています。現在、当社ではチュニジア、コンゴ、スーダン、ミャンマー、モロッコなど9カ国の外国人が、技術習得を目指して働いています。昨年は難民認定を受けたシリア人も仲間となりました。海外からやってきた彼・彼女らに修得してほしいと思うのは、技術力もありますがそれ以上にマインド、ものづくりの姿勢です。いくら技術力があっても、マインドやものづくりの姿勢が悪ければ、世の中に貢献することはできないと思います。将来、母国に帰った時にここで学んだことを活かし、ものづくり技術でその国の発展に貢献してほしい。そう切に願っています。そして、それらのネットワークが1つ1つ広がっていくことで、同じ価値観、志をもつサンテックグループとなり、世界の経済発展と環境問題を議論する国際会議をひらくことが目標です。
 
2021年9月、当社の合弁会社であるResouxia(リソシア)が誕生しました。同社では、サンテックが設計・製造する油温減圧式乾燥機D-Cocotte(ディーココット)を販売します。このディーココットは、生ゴミなどの食品残さを飼料にリサイクルする装置です。発展途上国の経済が繁栄すればするほど、顕著になっていくのがゴミ処理問題です。特に生ゴミはどんどん増え続けますが、それらをスムーズに回収・処理するシステムを整備できる国は、残念ながらそれほど多くありません。そこでディーココットを利用すれば、生ゴミ量を減らせるだけでなく、飼料としてリサイクルできるようになるわけです。ディーココットの製造や保守・修理には、高いレベルの溶接技術やひずみ除去技術が必要になります。サンテックの仲間がやがて母国に戻った時、その国でディーココットを製造していくことが実現すれば、まさにそれが「地球環境と社会経済が両立する道」となっていくのです。

2021年の竣工式で新社屋とそこに込められた思いの数々を目の当たりにした衝撃は、今でも忘れられない記憶となっています。訪問する度、ビジョンに向かって事業が躍動している様を感じており、今回のインタビューで青木社長から溢れ出ている情熱の根源を知ることができ、とてもうれしく思います。多国籍な人材が活躍しているオフィスはとてもオープンな雰囲気で、「地方だから・・・」と悲観的や限定的に考えることは思い込みであることを痛切に感じさせられます。「グローカルマインド」で、香川から世界へ羽ばたく同社の活躍を心から応援しています。

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