2017.02.13
予期せぬ出来事からキャリアを考える
こんにちは。リージョナルキャリア香川 コンサルタントの溝渕です。
「5年後、10年後、どうなっていたいですか?」
日頃、ご面談の中でこんな質問をさせていただくことがあります。
様々な事情や思いを抱えて相談してくださる方の中には、
目の前のことだけに精一杯で、先のイメージをあまりもたずに転職しようと
されている方もいらっしゃるからです。
こんな質問をさせていただきながら、一方では、5年、10年先のキャリアを
緻密に計画を立てることばかりが重要ではないとも、私は思っています。
人生は予期せぬ出来事の連続。キャリアも計画通りにはなかなか進んでくれないものだからです。
未来だけではなく、「過去→現在→未来」と一連で考えることが大切と感じています。
「計画された偶発性」というキャリアプランの考え方があります。
スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論で、
個人のキャリアの8割は、予期せぬ偶発的な出来事に影響されながら決定されるというもの。
その偶然を最大限に活用し、また、予期せぬ出来事をただ待つだけではなく、
自ら創り出せるように積極的に行動したり、人との出会いや周囲の出来事に神経を研ぎ澄ませ、
偶然をステップアップの機会へ変えていく、という考え方です。
これを実践するために必要な行動指針として、クランボルツは次の5つを挙げています。
(1) 「好奇心」 ―― たえず新しい学習の機会を模索し続けること
(2) 「持続性」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること
(3) 「楽観性」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
(4) 「柔軟性」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
(5) 「冒険心」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
人は日々多くの判断と選択をして生きていますが、普段から上記のような行動指針を
意識しておくことで、自ら偶然を創り出せる可能性が広がると考えます。
誰もが過去の自分を振り返ってみると、節目節目でターニングポイントと思われる、
さまざまな出会いや出来事があるのではないでしょうか。
それらが点と点でつながって今のキャリアが形成されていると思います。
私自身もキャリアを振り返ると、偶発的な出会いや出来事によって導かれたもので、
結果的に過去に思い描いていた道へ辿りつけたと感じています。
キャリアカウンセリング理論を学んでいた頃は、先のキャリアがまだ見えていない頃でしたが、
クランボルツのこのポジティブな理論が心に残り、一歩踏み出す勇気となり、今があります。
ここで言われる「行動を起こすこと」とは必ずしも転職をする、ということではなく、
ご自身のキャリアについて振り返り、社内の人や友人、家族に相談することも行動の一つ。
ネットや本から情報を得ようと動くことも一つ。
また、私たちのようなキャリアコンサルタントに相談してくださることも、
志向が整理されたり、自分だけでは知りえなかった企業や仕事を知るきっかけになったり、と
偶発的な出会いや出来事を創り出す行動になると思います。
私たちとの出会いが、みなさんの良いターニングポイントの一つになれますように。