四国旅客鉄道株式会社
山川陽一さん(仮名・企画職) 37歳
「大好きな故郷」を舞台に。観光業を通して、四国を世界に発信できる企業との出会い。
学生時代から未知なるものへの興味が強かった山川さん(仮名)。その興味はやがて海外に向けられ、留学や海外旅行など、積極的に海外へ足を運んでいた。大学卒業後に就職したのは旅行会社。以来、世界のあらゆる観光地に足を運び、観光産業一筋に突き進んできた。仕事はどれも充実していたが、発地型旅行企画の限界と、インバウンド需要の高まりから着地型旅行企画の可能性を感じるようになり、前職を退職。今後の自分のキャリアを根付かせる土地はいったいどこなのか・・・自身を振り返り、見つめ直すために行ったこと。それは、とにかく行動してみることだった。全国の地方を訪れては模索する日々。そんな中で確信したのは、地元である香川および四国の無限の可能性だった。観光のプロとして香川にUターンを決意した山川さんの、転職ストーリーを追った。(※本記事の内容は、2019年8月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 過去の
転職回数 - 3回
- 活動期間
- エントリーから内定まで約90日間
転職前
- 業種
- 旅行代理店
- 職種
- 企画営業職
- 業務内容
- 海外旅行の企画・販売・添乗業務等
転職後
- 業種
- 観光業(鉄道業)
- 職種
- 企画職
- 業務内容
- 四国におけるインバウンド向けの観光企画・提案等
地元である四国の可能性を確信。経験を活かして、四国を世界に発信したい。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
インバウンドのお客様を集客するために、四国の着地型(※)の旅行企画に携わっています。主な担当国は韓国と台湾で、現地の旅行会社に四国の宿泊地や観光地の情報提供を行い、現地の要望にあわせた旅行企画のサポートを行っています。四国を旅行地に選ばれる方は、日本に旅慣れている方も多いので、これまで知られていなかった四国の魅力をいかに伝え、そして満足して帰っていただけるかを考え、日ごろから率先して四国の情報収集を行っています。一人でも多くの四国ファンをつくること。それが私の役割です。 ※着地型旅行企画とは、オプショナルツアーなど、旅行者の受け入れ地域で企画される旅行商品。それに対して、旅行者が出発する地域(発地)で企画・販売される商品を発地型旅行企画という。
入社前のご経歴を教えてください。
地元の香川から大学進学とともに北海道の帯広に移住しました。大学時代から自分の興味がある場所には積極的に旅行していました。好奇心の強さから、アフリカや中南米も訪問し、英語を学ぶためにスリランカに留学もしました。就職時には自分のやりたいことを仕事にしたいと、旅行会社に入社し、国内外の旅行企画及び添乗業務に従事していました。その後、旅行中に訪れたアフリカに魅力を感じ、現地でのツアーガイドを経験しました。日本へ帰国した後は、旅行業の今後の在り方を考えて、東京の大手旅行会社に就職し、オーダーメイドの海外旅行企画販売および添乗を行う仕事に就いていました。どの仕事もとても充実しており、自分のやりたいことにひたすらに打ち込む毎日でした。
転職の理由は?
近年はインターネットの普及により、誰でも簡単に情報収集ができるようになったことに加え、お客様となる国内人口もどんどん減少しています。この現状から、業界の将来を考えた時に、今まで通りの発地型の旅行企画では、プロとしての仕事はできなくなると感じるようになりました。当時より、海外からの旅行客は年々増加していましたし、今後はその地から旅行に出かける日本人向けの発地型旅行企画ではなく、その地でお客様を迎え案内するインバウンド向けの着地型旅行企画の方が需要は高く、プロとしての活躍の可能性がより広がると考えました。そして自分が最も興味をもって企画販売できる地を探し、そこで仕事をしていこうと決めました。
転職活動はどのように進めましたか?
前職を退職してから、まずは国内外を旅行しました。その旅のテーマが、仕事をする場所を探すことと、自分自身が魅力的に感じ、かつ、まだあまり知られていないエリアを探すことでした。改めて、フラットな目線で他のエリアと四国を比較してみた時に、まだまだ知られていないたくさんの魅力に気付いたことが大きく、活躍の地を四国と決めました。その後は、インターネットなどで求人の情報収集を開始し、関連しそうな旅行会社やゲストハウスなどにコンタクトをとりアプローチをしましたが、なかなか良いご縁に恵まれませんでした。そんな中、出会ったのがリージェントの佐々木さんでした。佐々木さんは、私の想いをくみとり、それを実現するために「こんな会社や経営者がいるので会ってみますか?」と、提案してくれました。求人情報ありきではなく、可能性をベースとした情報収集をしていただきました。その時に、何社か紹介いただいた中の一つが今の会社です。
今の会社に決めたポイントは?
私が思い描いていたインバウンドの着地型の旅行企画に、会社がまさに力を入れようとしているタイミングであったことと、四国全域が対象エリアということが大きかったです。香川県だけというより四国エリア全体の魅力を伝えていきたいと考えていたので、それが実現できる会社であることは魅力的でした。ここでなら、まさに私がやりたいと考えていたことができると感じました。
「お金」よりも大切な「時間」。四国に帰ってきて気付いた大切なこと。
転職していかがでしたか?
一言で言うと、とても充実しています。自分が思い描いていた仕事がどんどん実現できています。四国内で様々な繋がりもできてきましたし、これからやりたい事がたくさんあります。
生活面での変化はいかがですか?
実は、入社して1年半後に子どもが生まれたことをきっかけに、時短制度を利用しています。今の勤務時間は1日6時間。毎日早く家に帰り、私が子どもをお風呂に入れる担当になっていて、家族と過ごす時間も大切にしています。もちろん仕事も、制度の利用前と変わらないミッションを担っています。やってみて、とても良かったと思うことは、時間が限られたことで、それまでよりも生産性を考え、成果を出すということに、よりこだわりを持って仕事ができるようになったことです。この時短制度は、男性で取得している人はほとんどいない状況だったので、初めは周りも違和感がある様子でした。しかし今では同僚から、「取得してみてどうですか?」と興味をもって質問されることも多くなりました。
困っていることや課題はありますか?
地方ならではのローカルルールの様なものが存在していて、最初はそれが理解できず苦労しました。例えば連絡の手段。東京ではメールでやりとりできていたことが、香川ではとにかく電話が多いんです。業務効率の考え方や時間の感覚があまりにも違うことに、一番戸惑いましたね。今では慣れてきたこともあり、相手によりベストな手段を調整し、選択できるようになりました。人にはそれぞれの生き方や考え方がありますし、これまでのやり方だけにこだわってしまうと物事が進まないですからね。
転職してよかったと思うことは?
まずはやりたいことがやれているということが幸せです。さらに可処分時間が増えたことで、好きなことができるようになったこと、それが一番良かったです。時間が、一番価値のあるものなのだと気が付きました。例えば子育て。子どもが生まれたときに可処分時間がある、というのはすごく良いですよ。私は寝る事も好きなので、睡眠時間もちゃんと確保した生活が出来ています。あと、香川の食べ物が本当においしい!「働く」、「寝る」、「食べる」、「家族と過ごす」、人として根本的に大事にしたいこと、全てが充実していると感じます。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
UIターン転職を検討されている方の中には、収入が気になったり、不安だったりする方が多いと聞きますが、個人的には一度、時間とお金を存分に使って、行きたい場所に旅行をしてみることをお勧めします。「あえてたくさんのお金を使ってみる」ことがポイントです。なぜなら、大金を使うとなると、何に使うかに慎重になり、その対価の時間や体験を特に大事に考えられるようになるからです。これは私自身が転職前にやってきた手段でもあるのですが、実体験として、自分が持つ価値観に向き合うことができ、その時、自分が何を大事にすべきなのかが見えてきたんです。都会で生活している、今のままの価値観で考えていると、見えてこないものがたくさんあるように思います。四国であれば四国ならではの価値があり、その価値も尺度に加えた上で判断をすることも大事なのではないでしょうか。個人的には、流れている「時間」は「お金」よりも価値があり重要なものなのだと、四国に帰ってきて考えるようになりました。