四国化成グループの「求心力」構築を支える戦略的シェアードサービス。
四国化成コーポレートサービス株式会社
代表取締役社長 安藤 慶明
父方の祖父が愛媛・松山出身で親戚も多く、子ども時代の夏休みなどは四国で過ごしたことから四国を「第2の故郷」と感じている。1990年、野村證券株式会社に入社。2015年、高松支店に赴任後、四国に拠点を構える多くの企業を担当。そのうちの一社である四国化成から誘いを受け、2021年に転職。以後、財務部長、企画財務統括、執行役員などを歴任。2023年、ホールディングス体制移行に伴って四国化成コーポレートサービス株式会社が誕生し、同社社長に就任。四国化成ホールディングス株式会社の取締役も兼務。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
求心力があって初めて、事業会社は可能性の翼を広げられる。
四国化成コーポレートサービス(以下、四国化成CS)は、2023年、四国化成のホールディングス体制移行により、各事業会社が分社化する形で誕生しました。
当社が担うのはグループ各社の経理、財務、人事、人材開発、法務、税務、労務、総務、情報システム、コンプライアンス、内部統制といった業務の支援です。
そう聞くと、企業グループの間接部門を集約して効率化を図る「シェアードサービス」専門の会社と感じる人も多いでしょう。確かに一部そういう側面もありますが、四国化成CSは単なる事務代行会社ではありません。
主力事業であった化学品と建材を分け、それぞれを事業会社としたのは適切な判断だったと思います。化学品と建材では製品の成り立ちも市場も時間軸も違うので、それぞれの価値観で進めた方がいいのは言うまでもありません。
分社化によって、お互いやりたいことができるようになって、事業が活発化し成果も上がっています。これは、自由に動き回ることで「遠心力」が働き、可能性を広げていった結果だと感じています。
しかし、遠心力が発揮できるのは集団の中心軸がはっきりしている時です。軸が明確でなければ、それぞれが好き勝手をやり始めてバラバラになり、グループとしてどこに向かいたいのか分からなくなってしまいます。
各事業会社が四国化成グループとしてやっていくには、遠心力の対極にある「求心力」が必要ではないでしょうか。求心力があって初めて、各事業会社は自らの立脚点を見失うことなく、自由に、より遠くまで可能性の翼を広げられるのです。
全社戦略の構築を支えることで、グループの発展を加速させる。
求心力を担うのは、言うまでもなくグループの中心である四国化成ホールディングスです。
ホールディングスには経営企画室やサステナビリティ推進室、安全・リスク管理室、品質保証部、新規事業部、内部監査室というさまざまな機能がありますが、この各セクションに社員を送り出し、業務を支えているのが私たち四国化成CSなのです。
そして、グループ全体の人材戦略や財務戦略、DX・広報・サステナ・新規事業戦略を構築する際、各部門が最終決断を下すのに欠かせないデータの集約や分析を行い、さらに各施策の立案と旗振りをしているのは四国化成CSのメンバーです。
四国化成CSはそういった各事業会社の事業戦略を加速させる役割として、従来の概念から進化した戦略的シェアードサービスを担っています。
当社には、広い視野と深い分析力が求められる役割を果たせる高度なスキルを持った人材が揃っています。ですから定型業務にとどまらず、より高度なミッションにも対応できるのです。
四国化成CSはそれほど社員が多い会社ではないので、一人ひとりが幅広い業務を担当しています。簡単でない業務を次々にこなしていけるのは、自発的にそれぞれの課題と向き合っているからだと考えています。
当社の管理職がメンバーの意欲を発揮させるよう、うまくマネジメントしているおかげです。四国化成CSの経営者である私の最大の役目は、究極的に言えば「メンバーのモチベーションを喚起すること」と言っていいかもしれません。
「四国」を背負う、四国で一番いい会社。
私は父方の祖父が愛媛県松山市の出身で、夏休みには松山に行っていとこ達と遊ぶのが定番でした。そんな少年時代を過ごしたので、四国・松山は第2の故郷と感じています。
大学を卒業し、野村證券に入ってからはずっと大阪・東京を行ったり来たりでしたが、初めての地方転勤となったのが高松支店です。
赴任後、四国に影響力を持つ中核企業や有力企業を担当し、数多くの社長とお会いしました。私はもともと四国が好きなので、自然と話も弾みました。
「四国のために頑張ります」という言葉も本音だったので、社長らも胸襟を開いてくれました。そうして多くの経営者・幹部層と親交を結んだ中の一社が四国化成でした。その誘いを受け、四国化成にやってきたのは2021年のことです。
四国化成の売上の4割は海外マーケットで、「四国を世界に発信している」と言っていいでしょう。これは四国への大きな貢献で、社名のとおり「四国を背負っている」と言っても過言ではありません。
四国を背負っているのですから、四国で一番いい会社にしていきたい。そして四国の価値を世界に広めたいですね。
「自分たちは四国の価値を世界に伝える大切な仕事をしている。自分たちにはその資格があるのだ」と、社員も誇りに思ってほしいのです。
売上1,000億円・株式時価総額2,000億円は、遠い目標ではない。
「四国で一番いい会社」というのは、可能性の大きさのことです。私は前職時代、IPOなど幅広い業務を担当して、証券マンとしての判断力を鍛えてきました。
その目利きで四国化成を見た時、伸びしろが大きいと思った。だから誘われた時、すぐ決断できたのです。一方で、あえて厳しく表現するなら、「もったいない会社」とも言えます。
マーケットはニッチで競争相手が比較的少ない、技術力もある、人材も優秀。本来はもっと伸びていい、それだけの潜在力があるのに、「もったいない」と感じていました。
中に入ってみて、「やはり潜在力が高い」と推測が確信に変わりました。ずっと中にいる社員だったら気づかないことも、外から見てきた私には見える。もっと伸びるのは間違いないと自信を持って言えます。
四国化成がポテンシャルを発揮するには、人材をもっと増やす必要があります。四国化成の最大の強みは現場力です。可能性が大きいのに人材不足によって本来の力を発揮できないのはもったいないことです。
四国化成の各事業会社が自由に翼を羽ばたかせるためにも、私たち四国化成CSは戦略的シェアードサービスとして、確固たる求心力の形成を支えなければなりません。
そのためにも、人材が欠かせません。そうやって陣容が整っていけば、グループ全体での売上1,000億円・株式時価総額2,000億円は、決して遠い目標ではないと思っています。
最も重視するのは「四国のために何かしたい」という思い。
四国化成CSは、経理、財務、人事、法務、税務、労務、総務、情報システム、コンプラ、内部統制など幅広い領域をカバーしています。それぞれで人材が必要なため、専門性を言い出すときりがありません。
例えば、海外売上比率がさらに増えることを考えると、税務でも国際税務に通じた人材が必要になります。M&A業務に携わった経験のある人材の重要性も高まっています。
とはいえ、高飛車に事業の価値評価を行うのではなく、私たちが求めるのは四国が好きで、四国のために何かやりたいという気持ちを持って企業や事業の目利きができる人です。
広報で言うと、コーポレートブランディングから関われる人。ブランディングを長くやってきたプロが入るとアピール力も変わるでしょう。
人事では、評価・制度に関わったことのある人がいると助かります。給与体系はまだ分社化以前のまま運用している部分があり、整備・改善していかないといけません。
IRも同じですね。本当は外国の投資家に対しても英語で渡り合えるようなプロがいないといけません。それに経営企画。今のメンバーも優秀ですが、もう少し人員が必要と感じています。
ただ、専門性を持っている人に限らず、「四国を背負う覚悟でやっている会社があるのだな」、「四国化成CSって面白そうだ」と思って来てくれる人なら大歓迎です。
四国化成は伸びしろが十分にあるし、まだできあがっていないので、自分たちでいろいろ創っていける点も魅力です。そういった会社に来て、四国のために力を発揮していただけませんか。