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お客様も地域住民も従業員も。五星と関わる人はみんな幸せになってほしい。

株式会社五星
代表取締役社長 今中 雅樹

更新日:2024年4月17日

1962年生まれ。大阪の建設コンサルタント勤務を経て五星に中途入社。1991年、五星の関西支社立ち上げとともに配属となる。その後、30年近くを大阪で過ごし、関西支店長も務める。2016年、取締役就任とともに香川へ。2018年には代表取締役専務に就任。2020年より現職。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

「五つの星が、幸せの下に集うように」という意を込めた社名。

私たち五星は測量・設計技術を基盤とし、地域社会が直面するさまざまな課題に適切な解決策を提示する建設コンサルタントとして事業を行っています。土木・建築分野をはじめ、公共事業を円滑に進めるための補償コンサルティングや、地質調査・測量まで幅広い領域を網羅。

加えて、地理空間情報を快適で安全な公共社会の実現に活用する、空間情報コンサルティングも提供。独自開発の地理空間情報システムは、多くの自治体のインフラ管理や問題解決に役立っています。

五星の創業は1963年。当初は測量業登録としてのスタートでした。建設コンサルタント業登録を行ったのは1976年。補償コンサル登録は、その8年後です。この頃から、建設コンサルタントとして活動することになります。

「五星」という社名は、江戸時代の儒学者・佐藤一斎氏の遺した「言志四録」に由来します。言志四録は「指導者のバイブル」とも言われ、現代に至るまで読みつがれている書物です。同書には、「五星(水星・金星・火星・木星・土星)のめぐるに、順有り、逆有り、もって太陽と相会するが如し」という一節があります。

この意味は、「五つの星は順行だったり逆行であるように見えても、すべて太陽の周りに集まっている。同様に、人生にも逆行や順行の時はあるが、太陽という幸せに行き着けるよう、力を合わせて歩んでいこう」というものです。

「この会社に集う人は、みんなで肩を組んで進もう」創業者は、そんな思いから「五星」という名を選んだのです。

またこの社名には、別の「五省(ごせい)」という意味も込められています。

●誠実さや真心、人の道に背くところはなかったか
●発言や行動に、過ちや反省するところはなかったか
●物事を成し遂げようとする精神力は、十分であったか
●目的を達成するために、惜しみなく努力したか
●怠けたり、面倒くさがったりせず、十分に取組んだか

これは五つの戒めを表したもので、創業者はこの言葉を胸に、いつも我が身を顧みていました。私は創業者から数えて五代目の社長にあたります。創業者は他者に優しく、胸襟を開いて接してくれる温かさがありました。その器量の広さからか、人望も大きかったようです。その創業者が、どういった会社にしていきたいか突き詰めて考え、選んだ社名なのです。

一方で、「1週間の7日のうち、5日も全力で働けば十分だ。仕事だけでなく、人生を楽しめる会社にしよう」との想いもあって「五」の文字を選んだ、とも聞きます。まだ週休2日制がなかった時代ですので、先進的な考えの持ち主だった、とも言えるでしょう。

五星という名に込められた思いは、当社のDNAとして根づいています。五星に関わった人は、幸せであってほしい。お客さまと話す時、地域の人々に接する時、そして従業員と向き合う時。私は心の中で、いつもそう語りかけています。

地元香川で高い評価。他地域の展開にも力を入れる。

当社の顧客の95%は行政、自治体です。営業を進めるにあたっては、行政の方針を早めにキャッチするとともに、地域住民が何を望んでいるのか、今の施策は住民のためになるか、といったさまざまな視点を持っておく必要があります。

今日、どの自治体も限られた予算でインフラをどう維持するか、頭を悩ませています。少子化により、税収が増える見込みはありません。それでも、適切な修繕をしなければ、橋も道路も傷んでしまいます。そんな状況で地域社会を維持するには、専門家である私たちが、もっと知恵と技術を振り絞らなければなりません。

幸い、地元の香川では一定の評価を獲得できています。地元の建設コンサルといえば、かつては五星くらいしかなかったので、その時代に築いた信頼が財産となっているのです。無論、大手が参入するなど競争は激しくなっているので、あぐらをかいていられません。

そのため、他地域での事業展開にも力を入れています。「2040年に西日本で一番の技術力と売上と品質と処遇を実現する」というビジョンを掲げ、他地域の営業活動を活発化させています。公共工事は毎年一定ではなく、減少する年もあります。しかし、他地域で事業を行っていれば、どこかの地域の実績が落ち込んでも、別の地域でカバーできるでしょう。

以前、売上全体に占める香川県内の割合は8割程度でしたが、現在は6割程度と、他地域での事業も存在感を増しています。これをできれば半々くらいにするのが理想です。

地域住民のため、従業員の学びのためなら「二番手」でもいい。

ただ、他地域の展開に関しては、「何が何でも当社単独で」とは考えません。当社はそれなりに幅広いメニューを揃えてはいるものの、万能ではありません。勝手のわからぬ地域では、地場のコンサルや全国大手に学ぶ点も多いでしょう。であれば、JV(共同企業体)を組んで、大手や地場のコンサルと協業してもいい。場合によっては、当社はサポートに徹し、他社に前面に出てもらっても構わないとも思います。

どの地域にも、ノウハウを持ったコンサルがいます。そうしたコンサルと組むことで、当社の従業員に勉強の機会が与えられるのです。JVを組んだ相手が、当社従業員の仕事に対する姿勢を認め、「ウチに預けてくれれば、国家資格を取るまで教育する」と提案してくれる会社もあります。それだけ、当社の従業員が懸命に仕事しているからこそ、です。

実際に他社に預けて教育してもらうと、そのまま居心地がよくなり、五星に戻ってこないかもしれません。それは寂しくもあるけれど、致し方ないとも思います。大手のコンサルに行けば、規模の大きな案件を扱うチャンスがあります。海外で活躍する道が開けるかもしれません。

そうした仕事にチャレンジしたいと従業員が言うなら、私はできる限り応援してあげたいと考えます。五星に関わった人は、幸せであってほしい。その思いは相手が従業員であっても変わりません。

他のコンサルとJVを組んでも良いというのも、同一線上にある考えです。建設コンサルを実施するのは、地域住民のためです。地域の人が幸せになるのなら、私たちが常に主役である必要はありません。この考えは、別に私のオリジナルというわけではありません。五星に関わった者は、みんな同じように判断すると思います。DNAが骨の髄まで染み込んでいるのです。

インフラ管理に不可欠の空間情報システムを、低コストで。

空間情報コンサルタントに対応できるのは、五星の特徴の一つです。全国大手なら提供するところもあるでしょうが、五星のように地域に立脚する建設コンサルで、空間情報に対応する会社は珍しいのではないでしょうか。

サービスメニューが多くなると、それぞれにリソースを割かないといけなくなるため、経営効率は良くありません。しかし、地域の抱える課題に応えようと思うと、多彩なメニューを用意しておく必要があるのです。「このサービスは五星が対応してくれるけど、別のメニューは他社を探さないといけない」となると、お客さまが大変です。一気通貫で行けるなら、お客さまの負担を減らせます。

空間情報は、電子地図上にインフラに関するすべての情報が格納される、というイメージです。道路に埋まった水道管もわかりますし、修理する際、どの世帯に影響が出るかも簡単に把握できます。他に公園管理や公有財産管理、固定資産台帳とも紐づいており、インフラ整備には欠かせません。

大手の場合、空間情報はクラウドサービスで提供するのが主流です。一方、当社はオンプレミス型の独自開発システムで提供しています。というのも、クラウドサービスはコストが高いのです。毎年の管理なので、一度サービスが開始されると、年々コストがかさんでいきます。

一方、当社のシステムだと、費用は10分の1。クラウド型と違って最先端の技術を常に適用、というわけにはいきませんが、自治体の望む管理に応えるだけの機能を持っています。超大手のクラウドサービスが「大規模病院の先進医療」とするなら、私たちの空間情報システムは「町医者」といったところでしょうか。しかし、視野の広さと小回りを要求される地方自治体においては、むしろ町医者こそ重宝される場面が多いのです。

それでも、大手の提案でクラウド型に切り替えたい、と望む自治体もあります。その際、私たちはお客さまに目的を尋ねるようにしています。空間情報に毎年何千万円もの投資が本当に必要か。税収が年々目減りする中、負担に耐えられるのか。流行りだからという理由だけで高コストのシステムを選んでも、誰も幸せにはなりません。

事業である以上、私たちも収益は必要です。しかし、私たちの事業目的は収益ではありません。お客さまに、住民に幸せになってもらうためのサービスを提供することです。でなければ、ローカルの会社に存在意義はありません。

次代を委ねられる従業員が育っている。

当社では、事業とは別にさまざまな社内の取り組みが立ち上がり、成果を挙げています。こうしたプロジェクトを発案し、主役となって動かしているのは若手を中心とする従業員たちです。

社員の発案に対し、私が大まかな方向性を指し示すことはありますが、細部まで細かく口を出したりはしません。私よりはるかに優秀な従業員たちなので、安心して任せられるのです。

牧歌的な風土の中で、社員たちはすくすくと育っています。「みんなで肩を組み、力を合わせて幸せを目指そう」という「五星」の名に込められた思いが、「誠実で、人々の幸せのため惜しみなく努力しよう」という「五省」に込められたスタンスが、従業員にしっかりと根付いているからでしょう。そんな従業員達なので、安心して次代を委ねられる、と実感じます。

当社のスタンスに共感していただけるなら、きっとあなたも肩ひじを張ることなく、自分自身の長所を発揮できるでしょう。

編集後記

コンサルタント
四ノ宮 こころ

いつ会社を訪れても、どの社員とお話をしても、誠実で丁寧で優しくて、この温かさはどこから来ているのだろう、とずっと不思議に思っていました。一方、業界や仕事はイメージしにくくもあり、この辺りの生の情報を知りたく、社長にお話を伺いました。

五星社は香川で初めての建設コンサルタント会社。創業から受け継がれる「みんな幸せになってほしい」という、シンプルかつ究極の精神が人を育み、地域の「町医者」としての在り方がその事業を作り上げてきていました。

同社の過去と未来を見据えて、現在を力強く支える今中社長の言葉は、どこをどう辿っても「人々を幸せに」という信念に行き着くのです。多利の心で私たちを支えてくれる会社の存在を誇らしく、また幸せに思ったことは言うまでもありません。

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