「愛とテクノロジー。」で、人々を幸せにするデジタルマーケティングを提供。
アド・セイル株式会社
代表取締役社長 川添 泰史
愛媛県出身。新卒でセールスプロモーション会社に入社。メガバンクや大手電機メーカー関連会社などのプロモーション提案を担当。その後、スポーツマーケティング会社に転職。大手自動車メーカーのスポーツイベントに関わる広告・マーケティングなども手がける。リーマンショックを機に同社を離れ、四国にUターン。セーラー広告株式会社に入社する。3年後、同社子会社であるアド・セイル株式会社に出向。2016年、代表取締役社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
クライアント視点に立った課題の発見に価値がある。
アド・セイルは2008年、テレビ・新聞など既存メディアによる広告に強みを持っていたセーラー広告株式会社の子会社として誕生しました。背景には、インターネットと既存メディアとのクロスメディア手法による広告・販促企画を提案しようとの意図がありました。
創業当初、地方でデジタルマーケティングが活用されるシーンはまだ少なく、思うような立ち上がりとはならなかったため、立ち上げ後しばらくはWebサイトの制作が主な事業となっていました。その後、徐々にその先にあるマーケティングへと移行していきました。
転機となったのは、大阪のシナジーマーケティング株式会社と業務提携が決まり、地方ではまだまだ珍しかったCRM領域に取り組み始めたことです。顧客とユーザーの関係性やコミュニケーションを最適化することで、ニーズの変化や潜在的需要の取り込みを行うという視点をクライアントと一緒になって考え取り組んでいった経験が、今の礎となったように思います。
現在はオンライン広告の企画運用、ECサイトの企画運営支援、様々なデータ活用支援などを主なサービスとして提供しています。
ただし、これらはあくまでも出口の手段であり、我々が大切にする提供価値は、「クライアント目線に立ってビジネス全体を理解し、理想とする姿と現在地のギャップ、その原因となっている課題の発見と解決手段を共に考えて伴走する姿勢そのもの」だと考えています。
顧客の現場が理解できているかどうかが重要な鍵。
私自身は愛媛県の田舎町で育ちました。都会での生活に憧れを持ち、大学進学以降は東京で生活をしていました。新卒では大手企業の販売促進の施策を企画提案する仕事に就きました。
当時はTVCMや新聞などのマスメディアを使った広告が花形で、店頭POPなど店舗の売場づくりや商品につけるノベルティの企画などが中心の販売促進はどちらかというと泥臭い現場での仕事でしたが、私にとってここでの経験は今に繋がる貴重なものでした。
常に消費者の購買心理を想像する癖がつきましたし、実際に購買活動が行われるのは想定もしていなかったようなことがきっかけであるという経験をたくさんしました。また現場を見ることがいかに重要かという例では、あるクライアントのキャンペーンを行っていた際に、あまりにも反応がないのを不思議に思い実際に店頭を見に行くと、クライアントが提供した商品陳列用カゴに競合商品が山積みになっていたんです。
これではどんなに販促を打っても商品が売れるわけがありません。机上でいくら良い企画を練っていても、肝心の現場が動けていなければ何も意味はないということを痛感した出来事で、“現場”がオンライン中心になった今でも、「真実があるのは現場だ」という感覚を大切にしています。
コーポレートボイス「愛とテクノロジー。」を表明。
数年前に「愛とテクノロジー。」というコーポレートボイスを定めました。
クライアントとの商談の場でよくいただく質問が「ベストな手段、ベストな媒体は何ですか?」というような内容です。ただ、当たり前ですが、求めるゴールに近づくためのなにか夢のようなテクノロジーが存在するものではなく、それらはやはり手段に過ぎません。
もちろんテクノロジーの進化に対して、正しい知識を身に着け、使い方をプロとして知っていることは当たり前のことになりますが、それだけでクライアントが求める価値を発揮できるとは考えていません。
我々の仕事はテクノロジーの前に、クライアントのビジネスやその先にいるユーザー、広く言えば人間や世の中に対する愛や想像力を持てなければ成立しないものだと考えています。大量のデータを扱う仕事でもあるので、ともするとモニター上の数字だけを眺めて判断してしまいがちですが、それらは人間の膨大な想いや迷いや好き嫌いの感情の集積の結果なのです。
そのデータから何を想像し、どういう動きがあってこの行動になっているのか、それを想像できる力を持ってこそ、テクノロジーを有効に活用できるのではないかと考え、「愛とテクノロジー。」という言葉を掲げました。
これは我々の意志の表明であると共に、社内のメンバーに対しても大切にしたい姿勢を共有する役割も果たしてくれています。今では、仮に誰かの仕事がクライアントの想いやカスタマーの望みに目が向けられていないものになってしまっていると居心地の悪さを感じる、そんな風土が形成されています。
データを紐解き、人を動かすことに成功。
最近は自治体のデータ活用の案件も手掛けるようになり、大きな成果に繋がっています。代表的な仕事の一つとして、大分県から受託した観光プロモーションの案件があります。
オンラインのアクセスデータだけではなく、もっと突っ込んだ「実際に大分県に来訪した人数」や「県内で消費された額」などのデータを、クレジットカード会社がもつキャッシュレスデータやオンライン行動検索データを用いて分析を行い、その結果に基づいたプロモーションを企画して効果検証まで行うという案件です。
分析してみると、観光での来訪が必ずしも期待した経済効果に繋がっていない実態が見えてきました。消費金額を拡大するには夜の時間帯における消費を延ばす必要があるという仮説を立て、「ミッドナイトおおいた」というコンセプトを提案してプロモーションを実施しました。
結果として、決済データからの視点で見てもナイトタイムの時間帯消費額が顕著に伸びており、県全体の観光消費額も伸びていることが確認できる内容となりました。「地域産業」としての地方観光経済に微力ながらお役に立てた、と実感できる貴重なプロジェクトとなりました。
さらにご褒美として、プロジェクトの中で制作したプロモーション動画が、国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2023」の「観光映像大賞」ファイナリストにも選出され、クリエイティブの面でも評価を受ける結果となりました。
〜世の中リテラシー、人間リテラシー〜 世の中や人に対する想像力を持てるかどうか。
我々の採用では業界経験の有無はあまり重視していません。専門的な知識は入社後でも十分身に付けられると考えています。それよりも重視していることに、「世の中リテラシー、人間リテラシー」があります。私が勝手にそう呼んでいるのですが、世の中の動きや人の心理に興味関心を持てるかという点を重視しています。
例えば、話題になっている商品やサービスを知った時に、「なぜ人気なのか、どんな人がそれを必要としているか」を考えることが好きだったり、広告やキャンペーンの記事などを見た時に、その目的やターゲットを考えてしまうような思考を何気なくやってしまうような人はすごく適性があるように思います。
また活躍しているメンバーには、業界問わず何かしら我々がクライアントとする業界経験を持っていることが多いのも特徴です。その経験があると、クライアントが抱える課題について、よりリアルに想像することができます。
例えばECで販売するにしても、受注対応や在庫管理の体制など、バックヤードの動きもあわせてイメージができるため、クライアントの課題をより鮮明に理解でき、それが信頼に繋がっています。
コロナ禍以降、我々はリモートワークをベースにした勤務形態に切り替わり、今も継続しています。働き方の面でもそうですが、仕事の面でも最新の業界動向に関する情報がオンライン上で容易に取得できるようになりました。
都会と地方の情報格差は埋まり、地方にいても必要な情報にアクセスできず困るという場面はほとんどありません。ただそれらをそのまま地方にもってきてもうまくはいかないことも多く、その情報を地方にあう形に翻訳・変換できる力が求められていると感じます。
我々は地方の実情を知りながら、全国区でも胸を張って戦える知識と知恵を併せ持つ、我々にしかできないサービスの形があると信じ、愛とテクノロジーで進化を続けていきます。この想いを共にしていただける方とぜひ一緒に働きたいと思っています。